相棒season21放送当時(2022年10月~2023年3月)の感想記事です。
第13話「椿二輪」感想
★今回は亀山薫の審美眼が発揮された回でしたね。
season2 の「冷凍イカ」を思い出した人も多いはず。
目の前の現象を素直に受け止めることができる亀山君ならではの才能。
右京さんとはベクトルは異なるけど、唯一無二の稀有な才能。
★今回の脚本を担当された方は昔のシーズンでも書いていた方だから、古き良き相棒のエッセンスをうまく取り入れているように思えました。
冷凍イカとかウイスキーとか、「意図せずしてその五感を発揮しちゃう」という亀山エピソード、その辺りも頭にあったのかなあと思います。
★今回のポイントになる牧村遼太郎の遺作「椿二輪」。
その絵を切り裂いた犯人を追いかけるいつもの亀山君ですが、ママチャリでバイクを追いかける体力お化けぶりは相変わらず。
バイクを乗り捨てるところまでは追いかけられたわけだからね…。
★そして一課トリオとの仲良し?なシーンも好き。
伊丹はネギを拾ってくれるし、出雲さんのことは「麗音ちゃん」呼び(笑)。
ママチャリの持ち主さんが買い物した品をちゃんと探すところも亀ちゃんらしくてよい。
★牧村は「愛人」の大宮アカネと心中を図ったとされていたけど、やっぱり方法が異なる(異なりすぎる)のは、右京さんならずとも違和感を覚えるよね。
もちろんそれは偽装だったわけで…。
★自殺してしまった牧村を「情熱の画家」にするために心中を偽装しようとする奥さんもすごいけど、それに乗っかるアカネもすごい。
「私の作品にももっと説得力が出るかしら?」となかなかエキセントリックな発想。
それと、アカネが亀山君をデッサンしている時のポーズが気になる。
なぜにあのポーズ?(笑)
★でも、そういう画家自身とか絵の背景って、理屈っぽく説明しないといけないものなんだろうか。
背景を知らなくても感じられる感情の方が尊い気がするんだけど…。
それがまさに贋作を見て「情熱を感じられない」と言った亀山君や、本物の「椿二輪」を思わず持ち去ってしまい、人生観まで変えられてしまった梅田に現れているんじゃないのかな。
★牧村の奥さんはどうだったんだろうな。
全体を通して、「有名画家の奥さんになっていたい」から仕組んだという、単なる名誉欲とも思えないんだよね。
夫の絵の才能を信じていたのは事実だと思える。
梅田の顛末を聞いてすごく嬉しそうだったし。
だけど焦ってしまって、結果として夫を追いつめる一因にもなってしまったのかな。
★事件そのものの話ではないけど、右京さんくらい突き抜けた知識があればともかく、中途半端な知識はかえって邪魔になるのかなと思いました。
亀山君が変に頭でっかちな人ではなく、真正直に物事をとらえると知っている右京さんだから、「情熱を感じない」という言葉に動かされた。
ラストのこてまりでは相変わらずほめ言葉になっていなかったけど(笑)、右京さんが信頼している点はそこで、昔から変わっていないんだよなと思いました。
以上で終わります。