相棒season21放送当時(2022年10月~2023年3月)の感想記事です。
第15話「薔薇と髭と菫たち」感想
お も し ろ か っ た !!
★文句なしの今シーズンベスト。
岩下さんの素晴らしい脚本でした。
★ストーリーももちろんだけど、やっぱりヒロコママが大きい。
しかもただ懐かし要員として出すだけじゃなくて、事件解決のヒントもヒロコママのおかげっていうのがうまくできている。
1時間、飽きることなく見入ってしまいました。
★亀山君に謎のメールが届く→メールに従い公園へ→ヒロコママたちのドッキリ大作戦(笑)。
帰国後1度もお店に顔を見せていないという理由でここまでやっちゃう「薔薇と髭」の面々。
差出人の「MAROHIMAKO」から「ヒロコママ」のドッキリだろうと察している右京さんも凄すぎる(笑)。
★で、そこから本物の死体に遭遇してしまう特命&ママたち。
死んでいたのはルポライターとして有名な鬼塚誠一。
なぜか妻ノエル美智子の小説『日なたの花』を握って亡くなっていた。
しかもその本には「すみれさんへ」というサインが。
★誠一はヒロコママのお店の常連さん。
彼のルポのおかげで再開発がなくなり、ヒロコのお店が立ち退きを免れたという経緯があった。
ママ&お店の子たちと、恩人誠一とのトークが本当に楽しそう。
★ドッキリ含めママに合計3回呼び出される亀山君だけど、ラストは何と居酒屋で酒を酌み交わす部長&参事官が(笑)。
ごめんなさい、この絵には吹きました(笑)。
そうか、ママは二人に会うの実は初めてなんだねー。
ママは準レギュラーとしては最古参だからどこかで絡んでいるかと思ってた。
この居酒屋の大将もママのお店の常連さん。
かつここも誠一のルポにより救われた、部長憩いの場所。
夜のネットワーク、恐るべし(笑)。
そして二人の真実の姿?を知らないママの「ステキな上司を持って幸せね」
→右&亀「……。」
そりゃこういう反応しかできないよね。
★あとはさりげなく挟まれる伝説の冷凍イカネタも(笑)。
大丈夫、凶器じゃないからそれ。
ヒロコママといい、冷凍イカといい、オールドファンをくすぐりに来ていますね!
こういうの好きです。
★さて本題ですが、遺体が持っていた本に書かれた「すみれ」さんは、NPOハートテーブルによる、炊き出しなどのボランティアの利用者であることが判明しました。
そして誠一&美智子夫妻もこのNPOの支援者。
誠一が亡くなった夜、美智子は炊き出しのボランティアを、そしてすみれもそこにいたことがわかりました。
★美智子の本のメッセージ「この世界は美しく、人生は喜びに満ちている」。
これを「大嘘」だと言うすみれ。
かつては信じていた希望にあふれた未来とは全く異なる現在の自分。
確かに、子どもの頃無邪気に信じていたものが、大人になり現実を知って崩れていくということは誰にでもあるかもしれない。
でもそれを子どもの頃の無邪気な時代を懐かしむ方向で受け入れるのではなく、「大嘘」だと絶望する方向になってしまうのは悲しい。
それくらいすみれの現在は追いつめられている。
★そして美智子「一番の悪は私かもしれない」「若い人をずっと騙し続けていた」。
これがすみれの言う「理想と現実の違い」を言っているものだとばかり思っていたら、「騙す」の内容が全然違った!これはびっくり。
ラストで「そういうことか!」と思いました。
こういう騙され方は大歓迎です。
★それにしても美智子の小説『日なたの花』、すみれの娘の学校でも流行っているっていうのがすごい。
時を経ても色あせず、異なる時代の子どもたちを惹きつけてやまないなんて。
もっと言えば右京さんまでも感心してしまうその内容。
「優れた作品に年齢も性別も関係ない」。
そんな素晴らしい小説に感動したかつての自分を、すみれには後悔してほしくないな…。
★結論としては誠一の死因は心筋梗塞で、殺されたわけではなかった。
困窮から犯罪に手を染めようとしていたすみれが、声をかけてきた誠一から逃亡。
それを追いかけたために起こってしまったことだった。
★すみれは、誠一が自分のやろうとしていることを邪魔しに来たと勘違いしてしまったけど、誠一の真意は違ったんだよね。
それはすみれに「真実」を告げること。
それにしてもこの勘違いの原因となった半グレ集団は一網打尽になってほしい。
困窮者に目をつけて犯罪の片棒を担がせようとするどうしようもない集団。
★真実は、少女小説を書いていたのが夫誠一で、ルポを書いていたのが妻美智子だったということ。
回想シーンは酷いなと思ったけど、この夫妻が60代くらいだとして、20代が約40年前と考えたら、性別で職業が制限されるというのは当たり前にあったことだと思われる。
私が子どもの頃でさえも、今からは信じられないような制限があったし、今テレビで放送されれば一発でアウトになるような内容が、普通に放送されていた。
男が少女小説を書く、女が硬派なルポを書く、というのが受け入れられない時代だった。
だから二人は入れ替わってデビューした。
★美智子が「騙していた」というのはこのこと。
そしてすみれは売れなかった時代を励ましてくれた熱心なファンだった。
10代のすみれが満面の笑みで美智子にサインをしてもらう姿を見て、美智子がはっとしたように誠一を見る場面があってどういう意味かな?と思っていたけど、実際に書いているのが誠一の方だったからなのか。
こんな熱心なファンが来てくれた、ということを伝え合う目線だったということなんだね。
★誠一が持っていたサイン入りの本は、自分が書いたものだった。
炊き出しを利用しているすみれを見つけて、彼女に真実を伝えるために今度は「自分で」サインを入れて、その本を渡そうとしていたということ。
忘れられないファンであるすみれにちゃんと事実を伝えたかった。
★このサインの筆跡が、妻美智子の筆跡(=カレンダーの予定)とは異なること、そしてヒロコママが誠一に直接サインしてもらった本を持っていたこと、ここがうまくつながって右京さんが真実にたどり着く、という展開はよかった。
見ていて楽しかった。
★ラスト、真実を知ったすみれに、真の「鬼塚誠一」である美智子が「仕事を手伝ってほしい」と伝えたのもまとめ方として素晴らしかった。
困窮するがゆえに犯罪に手を染めようとしてしまった苦しみを知っているすみれの声こそ、真実を伝えようとする美智子の仕事には必要。
ただの同情心とかではすみれのプライドも傷つくだろうけど、「すみれだからこそ」やってほしい、という形がよかったな。
これで子どもの頃に感動した世界を、形は変わっても受け入れられるようになるといいな。
そんなすみれの未来が見えた気がする。
★美智子とすみれを見て涙ぐむヒロコママ。
そしてママの肩を抱く亀ちゃん、二人仲良しショットが最高。
「大好きな人が帰ってきてくれた」とバラの花束を渡すママと喜ぶ亀山君。
なんかちょっとうるっときちゃったよ(笑)。
全編古き良き相棒の世界が展開されていて本当に嬉しかった。
ありがとう、岩下さん。
★他にも細かなところまで書くときりがないんだけど、亀&伊丹&芹での取り調べ(暑苦しい)や、芹&出雲の部長のものまねとか、細部まで面白かった。
芹沢君そっくり、麗音ちゃん似ていない(笑)。
★長くなってしまいましたが、他にも過去キャラが絡むエピソード、色々見たくなりますね。
そろそろ米沢さんなんてどうでしょう?三浦さんもいいな…。
本当は瀬戸内さんとか、閣下とか、三好さんとか…見てみたかった人たちはたくさんいるけれど、心の中で亀山君との再会を思い描きます。
これだけ長期にわたるドラマ、たくさんの名優の方々が物語を彩ってくれたんだなと改めて思いました。
忘れられないキャラクターばかりです。
以上で終わります。