相棒season23 第14話「中園照生の受難」感想

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第14話「中園照生の受難」感想

★やっぱり初期のころから書き続けている岩下さんの脚本は安心安定だな~と心から思いました。


★知識の宝庫「右京」と五感の申し子「亀山」という相棒2人はもちろんのこと、レギュラー陣の個性を壊さず、往年の相棒らしさを踏まえたキャラ描写。長く続くドラマにありがちな、一歩間違えれば既視感しかないエピソードになってしまうところを、飽きさせることなく最後まで見る側をひきつけるストーリー展開。プレシーズンから見続けている者としては、これこれ!と思わずにはいられないもので、さすがの岩下脚本だな~と感心しきりでした。

★というわけで今回は中園参事官回!老後の生き方について思案を巡らせる参事官がたどり着いたのは近所の盆栽教室でした。

そんな参事官が誘拐されてしまったことが判明。誘拐犯は「ジャスティーズ」という動画配信集団で、公的に裁かれない悪事を私的に裁きそれを動画で配信するという、もうこの時点でこじらせてるな…としか思えない3人組。案の定、バズるために犯罪を捏造して無実の人を陥れるなんてところにまで手を染めていた。

★参事官はかつてジャスティーズを記者会見で批判していた。ジャスティーズのリーダー永瀬は拘留中であり、他のメンバー野口・海老原が永瀬の意を受けて参事官を誘拐したと思われていましたが…どうやら違う模様。

★メンバーの野田によれば、計画は参事官を一発殴るというもので、誘拐なんて計画していないという。しかも殴ることも実行していない。しかし誘拐犯はジャスティーズを名乗り、拘束されている参事官の動画はメンバーの海老原のスマホから送られてきていた。海老原が1人で実行しているのか?

★監禁動画の参事官の「つぶらな瞳」(by益子)に映りこんでいた犯人は覆面男だった。ジャスティーズは顔出しをしているわけで、ジャスティーズを名乗るなら覆面はいらないのでは?と右京。どうやらジャスティーズを語る別人が犯人ということに。

★野田はじめやってもいない罪を着せられそうになるジャスティーズの面々。つまりこれは自分たちがやってきたことの報い。完全なブーメランということですね。その後の顛末は描かれていなかったけど、ジャスティーズはおそらく解体だろうな。野田、海老原はこういう目に遭ってもへこたれないほど図太くなさそうだし、リーダー永瀬に関しても自分の指示で仲間がやってくれたと思っていたら実は全然違ったことを知ったら気持ちが醒めそう。所詮脆い集団でしかないから時間の問題ではあったと思うけど。

★さて場面変わって盆栽教室。なんと先生の江梨子と参事官に不倫疑惑が。しかしそれは江梨子の芝居だった。DV被害者である江梨子は元夫がまた自分のところにくるのではないかというトラウマを抱え怯えていた。何者かの視線を感じた江梨子はとっさに参事官に恋人のふりをしてもらおうとしたのでした。警察関係者が恋人であれば元夫をけん制できると考えたわけです。

★事情を知った参事官、え?どうした??っていうくらい優しくかつ頼もしく江梨子にアドバイス。刑事部長へのヨイショをしなくていい場面ではこんなにできた人なのか??(笑)。しかしこのシーン、単なるDV被害のトラウマを抱える女性と受け止める参事官、という単純な構図じゃなかった。この一ひねりがうまいんだよね。

★犯人が参事官を狙っていたことは確か。そこで目をつけたのは盆栽教室の名簿。最近入会した参事官よりも後に入ってきた人物が1人。その人物こそ、参事官を誘拐しジャスティーズを騙った犯人だった。

真犯人は小宮山冬樹。盆栽教室で加藤冬樹と偽名を使っていた人物であり、かつジャスティーズに痴漢の冤罪をかけられた人物だった。ジャスティーズへの恨みはもちろんのこと、やってもいない罪で自分を拘留し続け、無実だとわかっても何もフォローしなかった警察への恨みも抱いていた。警察組織とジャスティーズ双方への復讐を計画したのだった。ああこの男、捜一トリオが野田の家を訪問した際に、隣人のふりをして野田の居場所を教えた人だ。こういう細かい伏線も効いている。

★人に濡れ衣を着せて、自分がされて辛かったことを人に行っている。これはジャスティーズと変わらない。結局亀ちゃんの言う通りなんだよね。ただ一方で、冤罪をかけられた人へのフォローという点は考えさせられる。小宮山の言う通り、たとえ無実だとわかっても周囲からの視線は相当なものだろうし、日常生活に支障をきたすことは間違いない。無実で釈放したんだからいいでしょ、というわけには絶対にいかないのも事実。しかも今回の場合はジャスティーズが意図的に冤罪を作っているからたちが悪すぎる。それでも間違った形の復讐は許容しないという相棒の軸はぶれなかった。そこがやはり脚本として安心できる。

★無事に保護された参事官「杉下…あり…いや、よくやった」

「ありがとう」って言いかけたよね??参事官!
でも「ああ…ありがとう杉下!」なんて言ったら参事官大丈夫?ってなるから、これでいい。これがいい。

★そしてこれで終わり…じゃないのがすごいところ。別にこれで終わっても全く問題ないと思います。しかし終わらなかった。盆栽教室は、参事官の自分探しや小宮山が参事官を探る場所としてだけ存在したのではなかったのですね。

★「庭のしゃくなげが咲かない」ことがこうつながるのか~。確かに回想シーンのDV夫を見る限り、すんなりと離婚に応じるとはとても思えない。絶対に金をせびりに何度も何度も来そうだよな…と思いました。やはり夫は江梨子によって殺されており、庭に埋められていました。その腐敗臭を隠すために庭にまいた石灰が、しゃくなげに花が咲かない原因になっていた。

★江梨子が参事官に抱きつく芝居を見せたのは、近所の奥さんではなく小宮山だったんですね。自分に好意を抱いている小宮山に、家庭がある参事官の行為を糾弾させる。もちろん実際に不倫関係にあるわけではないからその点はとがめられないけれど、参事官という立場上トラブルを避けるために盆栽教室をやめることになるはず。江梨子の意図は、参事官を教室から追い出すことだった。庭に埋めた死体に気づかれる前に。

★いやしかし、さらなる展開が待っていた。「警察官」だから参事官を恐れていたのではなく、参事官の人柄を恐れていたとは…。江梨子の芝居について自分がDV被害者であることを打ち明けた際の参事官の明るく大らかな態度に、江梨子は自分がいつか自分の犯した罪をすべて参事官に話してしまうのではないかと恐れた。確かにあの参事官、警視庁内にいる姿とは別人だもんね。頼りがいがあって、明るくて、罪の意識にいたたまれなくなって話してしまいそうというのはわかる気がする。物語中盤の2人のやり取りが、ラストで違う意味を持つ。こういう構造は本当にうまい。

★参事官「(庭の)遺体についてはわかっていた」「潜入捜査のために教室へ入った」←絶対嘘だろ(笑)。このあたりの参事官はブレない。今回は参事官のかっこよさも描かれていたけど、「いつもの」参事官も健在で、「キャラ変」の違和感が全くないのもよい。警視庁内での姿と外での姿の違いを普通に納得できる形で描いてくれているのも、やっぱり初期から書いている岩下さんだからなのかな~と思っています。

★そしてラスト…右京さんの参事官への視線の意味は何?参事官の気持ちを推し量ったのかな?さらには刑事部長の言葉。まさかの定年後、2人で蕎麦屋オープン!?めちゃくちゃ面白いんだけど。参事官、定年後も気が休まらない(笑)。

長くなりました。以上で終わります。

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